子供もおとなもみんな大好きなチョコレート。ここ数年はバレンタインデーに自分へのご褒美に普段なら手を出しにくい高級チョコレートを買っていく女性も増えているみたいです。
また、チョコレート専門店や、デパートの特設売り場などのブランドチョコレートだけでなく、手頃な価格で手にはいるものもあり、ティータイムや仕事の休憩時間に食べてホッと一息ついてみる…という経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
そんな、私たちの身近なスイーツの“チョコレート”ですが、実は作っていく過程で“発酵”をして作られていたのです。今回はそんなチョコレートの作り方をまとめてみました。
チョコレートの歴史
チョコレートの原料のカカオは紀元前1000年頃かろに中央アメリカ辺りで栽培されていたといわれています。ネイティブアメリカンの人々はカカオを潰して食べていました。
アステカ、インカ、マヤ文明では通貨のかわりとして扱われていたようです。そのほか儀式の捧げ物や貢ぎ物、薬、交易にも使われる貴重なものだったことが、土器や壁画、石碑などから判明しています。アステカ文明の頃にはすり潰したカカオにとうもろこしの粉やとうがらしなどのスパイスを入れた苦い飲み物で、疲労回復や不老長寿の薬として飲まれていたといわれています。
その後、スペインがメキシコに遠征した際にカカオが伝わり、そこからヨーロッパ各地へと広がりました。その当時はチョコレートは食べるものではなく飲み物で今のような形になったのは1800年代だといわれています。
チョコレートができるまで
カカオってどんなもの?
カカオの木は南アメリカが原産の常緑樹で高さは5~10m、幹の太さは10~20cmです。カカオの実は枝だけでなく木の幹に直接花が咲き実をつけるのが特徴です。
カカオの花は房状にたくさん咲くのですが、実をつけるのはそのうちの1%。その貴重な果実は6ヶ月ほどで25cm くらいの大きさになりラグビーボールのような形から“カカオポッド”といわれています。
殻は1cm 以上あり中はパルプといわれる白い果実に包まれた種子が30~50個入っています。これが“カカオ豆”です。
カカオの収穫と発酵
“カカオポッド”を収穫して、堅い殻を割り中の“パルプ”を取り出して発酵過程に入ります。
発酵はバナナの皮に包んだり、木箱にいれて発酵させます。
発酵には5日~1週間ほどかかり、その過程でカカオ豆を包んでいる白い果実部分を取り除き、カカオ豆の成分が変化していき、チョコレートの元になる味や香りが生み出されます。
発酵による変化とは?
カカオ豆を包んでいるパルプには、水分と糖分が含まれています。菌やバクテリアなどの微生物によってパルプに含まれる糖が分解されアルコールが発生し、さらに発酵が進むと酢酸へと変わっていきます。
次々と生み出される成分をカカオ豆は吸収し、発酵過程で、カカオ豆は50℃まで温度が上昇し、その温度の上昇で微生物は活性化されます。
そうして、渋味やアクがカカオから除去され、チョコレートの元になる独特の味や香りが作られます。
また発酵過程で、ポリフェノールが微生物によって変化し、“高分子ポリフェノール”の一種の“エピカテキン”が作られます。
“エピカテキン”には強い抗酸化作用があり、健康効果が最近の研究で注目されています。
カカオ豆の乾燥
発酵が終わったカカオ豆は洗浄され、貯蔵するために水分7%くらいになるまで乾燥させます。
地域により、天日乾燥させたり、人工乾燥で乾燥させます。乾燥させたカカオ豆はチョコレート色に変化します。そうしてチョコレートの原料のカカオ豆は世界各国に輸出されていきます。
カカオ豆からチョコレートへ
到着したカカオ豆は洗浄されて、不良豆や異物を取り除き、110~120℃の温度で焙煎していきます。そして、カカオ豆を砕いて、不要な殻と“カカオニブ”に風とフィルターで選別していきます。
“カカオニブ”の50%以上が“ココアバター”という油分で、熱を加えてペースト状にしていくと“カカオマス”になります。
“カカオマス”をさらに圧縮することで“ココアパウダー”ができ、砂糖やバニラをいれることで、“チョコレート”となります。
チョコレートの魅力は発酵によって生まれる
今回はチョコレートができる過程をまとめました。
普段、私たちは販売されている完成されたチョコレートしか目にすることがありませんが、カカオ豆からチョコレートを作るにはとても手間と時間がかかります。
また、チョコレートの独特の風味を引き出すためには微生物の力による発酵が必要不可欠です。
最近のチョコレートブームのおかげで各原産地のカカオを使ったチョコレートを楽しめるようになりました。カカオ豆の風味の違いをぜひ楽しんでみてください!