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世界の代表的発酵食品の種類と特徴 -西洋の発酵食品編-

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近年、改めて発酵食品の健康効果が見直されています。

長い間、冷蔵庫や冷凍庫が今のようになかった時代に昔の人々は食品の保存性を高めたり、より美味しく食べられる方法を考えてきました。発酵食品もその方法の1つで、今現在までさまざまな改善・改良をしながら私たちの生活には欠かせないものになっています。

今回、代表的な世界の発酵食品の特徴についてをまとめました。

1. ワイン: 酵母菌(ワイン酵母)

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“ワイン”は世界で最も古い発酵食品といわれていて、かなりの昔にワインの原型が作られました。ワインの起源は、自生していたブドウが地面に落ち、動物や人間が踏んで潰れ、そして天然の酵母によって発酵しできたものだといわれています。

紀元前5000年頃の世界最古の文明のメソポタミア文明の遺跡からワインを作るためのブドウ畑やブドウの果汁を絞る為に使われる石臼が発見されています。当時のメソポタミアでは飲み水を手にいれるのが大変難しく、水の代わりにワインを呑んでいました。

その後ワインは、メソポタミアから古代エジプトへ紀元前3000年頃に伝わりました。エジプトのピラミッドの壁画にはワイン造りの様子やブドウを栽培している様子が描かれています。紀元前1000年頃には古代ギリシャにも伝わり、古代ローマ帝国の繁栄とともにヨーロッパ各地、フランスやスペインなどにもワインは広まっていきました。

世界で数多く存在しているアルコールの中で、ワインは最もシンプルなお酒といわれています。

お酒を造る時、原料のお米や麦を放置しても日本酒やビールにはなりませんが、ワインは潰して果汁にしたブドウに酵母菌がはたらき糖分がアルコールに変わって造られます。

2. ビール: 酵母菌(ビール酵母)

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仕事終わりに呑むとたまらない“ビール”も発酵食品の1つです。ビールの歴史も非常に古く、偶然の発見から紀元前8000年~4000年頃に生まれたといわれています。

人類最古の文明、古代メソポタミア文明のシュメール人の時代には、ビールはすでに呑まれていたみたいです。シュメール人が残した粘土版には、楔形文字でビールづくりの様子と“ニンカシ”というビールの女神に捧げた讃歌が描かれ残されています。

当時のビールは現在のものとは違っていて、麦を乾燥させたものの粉末をパンにして焼き上げて、焼いたパンを砕いてまた粉状にし、それに水を加えて、自然の酵母のはたらきによって発酵させて作られていました。

その方法で作られたビールは大麦がドロドロに溶けた微炭酸の飲み物で、飲み水の代わりにワラで作ったストローを使って飲んでいました。今のビールからは想像ができない飲み物ですね。

その後、古代エジプトにも紀元前3000年頃にビールは伝わりました。大麦を原料としたビール醸造されるようになり、ルピナスなどの植物や薬草が腐敗を防ぐ為に加えられ、独特の苦味や香味がつけられるようになりました。

ビールと言えば、今ではホップを使って作るのが主流となっていますが、今のようなホップを原料として作るビールは5~7世紀頃のことで、苦味や香りをビールにつけるのではなく殺菌作用もプラスされるようになりました。殺菌作用がビールの醸造に使われるようになったのは、9世紀頃のことだといわれています。一般的にホップビールが呑まれるようになったのは14世紀以降のことで、ビールが誕生してからだいぶ期間がたってから広まっていきました。

ビールの現在の基本的な原料は大麦やホップ、酵母、水です。大麦の発芽させた麦芽を粉末状にし、それを水に溶かし、そして加熱してできた液体(麦汁)にホップを加えて、ビール酵母でアルコール発酵させたものがビールになります。

3. ヨーグルト(乳酸菌、酵母菌)

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ヨーグルトの起源は、牛やヤギを人々が飼い慣らして家畜化して、その家畜から食用にミルクを搾取しだしたころからだといわれています。搾った家畜のミルクを革袋や木桶に入れておいたところ、そこに付着した乳酸菌が増殖し発酵して酸味があるドロッとした液体に変化しているのを発見したころだと思われます。

ヨーグルトは風味がよく、ミルクより日持ちもするので各地に伝わっていき、その土地ごとに利用法や保存法も変化していきました。そして各地域独特のヨーグルトも作られるようになりました。

世界最古の文明“メソポタミア文明”のシュメール人たちは紀元前3000年頃に記した石板には、搾った牛乳でバターを作る様子が残されていて、この時代にはすでに乳製品を作っていたことがわかります。そして、紀元前2000年頃のアムール人(アムル人)は、ミルクを発酵して作った発酵乳を食用・薬として使っていたことから、健康食材としてヨーグルトが食べられていたことがわかります。

その後、ヨーグルトの発酵技術は文明の発展と共に世界の各地に広まって、その土地の気候・風土によってさまざまに変化していきました。

ヨーグルトはミルクに含まれるブドウ糖や乳糖が、乳酸菌が育っていく過程で分解され、乳酸が発生することによって作られます。これを“乳酸発酵”といい、“乳酸発酵”したヨーグルトは元のミルクより保存がきき、ミルクより消化や吸収もよく風味も独特になります。そして、善玉菌も増え、腸内環境も整えてくれます。

4. チーズ(乳酸菌、酵母菌、アオカビ)

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チーズの起源は諸説あります。どの地域で最初に作られたのかは定かではないのですが、チーズの歴史は人間が家畜として羊や山羊を飼い、その乳を搾り、ミルクを飲んだり料理に使うようになったころだといわれています。

遊牧民が旅に出る時にミルクを動物の胃袋に入れて持ち運びをしていて、偶然、固まってしまいチーズができたという説、微生物のはたらきで、保存をしていたミルクがいつの間にか、液体から白い固まりとホエーと呼ばれる液体に分離しているところを発見したのがチーズの始まれといわれています。

紀元前5500年頃のポーランドのチーズ作りの道具が発見されており、これが最も古いチーズ作りの証拠だと考えると、チーズ作りはおそらく数千年前から作られていたのではないかと推測されます。エジプトの紀元前4000年頃の壁画にはバター、ヨーグルト、チーズなどの乳製品を作っていた様子が残されています。

チーズ作りはその後、世界の至るところに広がっていくのですが、世界各地の風土や気候に会わせて、山岳遅滞では羊や山羊のミルクから作るチーズが作られ。ネパールやチベット水牛や山羊のミルクを使ったものが、牛を家畜として飼っている地方では乳牛のミルクというように、各地域に合ったミルクを使いチーズは作られていきました。

また、暑い気候の地域では塩分を多く使い保存性を高めたり、ヨーロッパのような涼しい気候の地域では塩分を減らし、白カビや青カビを使って熟成させたチーズ作られるようになりました。このように独特の特徴が各地域によってみられるようになっていきました。

チーズが固まる原理は、“レンネット”と呼ばれる酵素を生乳の中にいれることによって起こります。

その固まったものを型に入れて圧力をかけ、水分(ホエー)を抜き出します。そして、それを塩水に浸し、温度と湿度を一定に保った部屋にしばらくの間おいておくと、乳酸や酵素のはたらきで、タンパク質と脂肪分がアミノ酸や脂肪酸へと分解されてぎゅっと栄養成分が凝縮されます。そうして、独特の風味のチーズが作られます。

5. パン: 酵母菌(イースト菌)

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パンは、小麦やとうもろこしといった穀物を粉にしたものに水を入れ溶かして焼いた平たくて硬い無発酵のものが始まりだといわれています。今のようなフカフカのパンが作られるようになったのは、紀元前3500年頃の古代エジプトです。偶然、こねたパン生地焼かずにを置きっぱなしにしていたところ、日差しの暑さと空気中にいた酵母菌がパン生地について膨らんでしまい、それをそのまま焼いてみると美味しかったので広まったのではないかといわれています。

そして、発酵させてパン生地を毎回少しとり置いておいて、そのとり置いたものを翌日に“パンのタネ”として新しい小麦粉に混ぜてうまいこと発酵を促してくれるということを発見し、“パンのタネ”の中に含まれている“酵母”を次の為に残すという習慣ができました。

古代エジプト人は、ビールの醸造の技術から学んだ、酵母の培養技術を応用して、発酵パンを作る方法を編み出したと思われています。そして、古代エジプト人の人々のパン作りはどんどんと発展していきます。なんと紀元前2500年頃の古代エジプトには約200種類くらいのパンがあったと記されています。この時代からそんなにも種類があったなんてすごいことですよね!

パンはその後、ギリシャやローマを渡り、ヨーロッパ大陸まで伝わっていきました。古代ギリシャもパンを作る技術が伝わる前に、ワインを作るのが盛んだったので酵母の培養技術はすでに確立しており、発酵パンを早い時期から安定して作ることができていました。

パンを作る為には酵母の1つであるイースト菌が必要で、小麦粉の中に含まれている糖分をアルコールと炭酸ガスへと分解してくれるはたらきがあります。パンをふくらませてくれるのがこの時に発生する炭酸ガスです。パンに使われる酵母にはたくさんの種類があって、果実などからできる天然酵母や、化学的に酵母を培養させるドライイーストや生イーストそれにサワードゥというものがあります。

古代から世界で愛される発酵食品

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現在ではすっかりおなじみになっている発酵商品をいくつか紹介しました。どの発酵食品もとても昔から作られていて、今でも世界中の人々の食卓には欠かすことができないものばかりで、今も世界中の人たちから愛され続けているなんてすごいことですね!

それに、微生物の存在や発酵の仕組みもまだわかっていなかった古代の人たちは、その“発酵”という仕組みを上手に利用して、さまざまな創意工夫を付け加えて、今現在まで残してきたのです。発酵食品を食べる時には、その食品の壮大な歴史に思いを馳せながら食べてみるのはどうでしょうか?