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世界の代表的発酵食品の種類と特徴(2) -アジアの食材編-

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昔から日本では、味噌や醤油、納豆や日本酒などのさまざまな発酵食品が作られ、引き継がれていきました。

そして、西洋ではパンやワイン、チーズやビールといった発酵食品が作られ、今では西洋以外の国々や日本でも食べられるようになっています。

一方、日本以外のアジアに国々ではどんな発酵食品が作られているのでしょうか?

今回は、アジアの代表的な発酵食品とその特徴をまとめました。

1. ナンプラー(タイ)

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ナンプラーとは、魚を発酵させて作る“魚醤(ぎょしょう)”です。

魚醤の歴史はとても古く、“周礼”という中国で紀元前3世紀頃に記された書物には、動物や魚の干し肉に塩と麹を混ぜて、酒に漬け発酵させた“醤”呼ばれたものが書かれています。

中国ではその後、大豆などの穀物で作られた醤油が広まっていきましたが、主に東南アジア各地に魚醤は広まり、場所により生魚を塩漬けにし作られたものや、干物にして作るもの、またはオキアミなどを使うなど、その地域ごとに使う材料は工夫されていきます。

魚醤は大豆や米などで作る穀物醤油のように“麹菌”を入れなくても魚の内蔵などに含まれる酵素がはたらいて自然に発酵します。非常にシンプルな製造方法なのが魚醤の特徴です。

“ナンプラー”が作られるタイでは、新鮮なカタクチイワシが近くの海で水揚げされます。タイは暑い気候のため鮮度が長くもちません。そのカタクチイワシが腐敗しないように、塩を2;1の割合で入れてかき混ぜ、重石を上に置いて漬け込んでいきます。6ヶ月~1年間ほど発酵させて、そこから出てきた液体をこしてナンプラーが出来上がりです。

ちなみに、ベトナムの“ニョク・マム(ヌクマム)”もナンプラーと同じように作られます。

ナンプラーは“カタクチイワシ”の内蔵の中に含まれている酵素のはたらきでタンパク質が分解されます。その時にグルタミン酸などのアミノ酸やペプチドが作られ、その中でもグルタミン酸は化学調味料にも使われるほどの旨味成分が強いため、コクのある味わいになります。

2. テンペ(インドネシア)

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テンペは、インドネシア・ジャワ島発祥の発酵食品です。大豆などをハイビスカスの葉やバナナの葉の表面に着いている白カビの一種の“テンペ菌”で発酵させて作ります。詳しい起源などは不明ですが、16世紀頃には、テンペの原型ができていたそうです。ジャワ人がインドネシアのあちこちへ移住していくうちに広まっていったそうです。

大豆から作られるテンペは日本の納豆にているのではないかと思われるかもしれませんが、塩が含まれていないという点しか同じところはなく、納豆のように臭いや粘りもほとんどありません。テンペの味は大豆そのもののクセのない味です。なので、色々な料理の材料として使われます。煮込み料理、揚げ物、炒め物のおかずはもちろん、スナック菓子としても美味しく食べられます。

テンペの見た目は独特でカマンベールチーズのような真っ白のカビ(クモノスカビ)にまわりを覆われた食品です。ミネラルやイソフラボンの吸収が大豆が発酵することによって良くなり、健康食品として日本や欧米でも注目され、食べられています。

“テンペ”の作りかたはとてもシンプルです。

大豆を吸水させて、皮を取り除き、1時間ほど加熱します。そして40℃以下に冷ましあら熱を取ります。そこへ“テンペ菌(クモノスカビ)”をまき、バナナの葉などに包んで2~3日発酵させて出来上がります。その見た目から“大豆のカマンベール”といわれています。

大豆の良質なタンパク質のほかに、発酵のおかげでビタミンB郡、アミノ酸やミネラルが増え、食物繊維お豊富に含まれていて消化吸収もいいのがテンペの特徴です。

3. ナタ・デ・ココ(フィリピン)

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デザートとして日本でもブームがあった“ナタ・デ・ココ”は、フィリピンの“ルソン島”というところでもともと作られていた発酵食品です。ゼリーや寒天のような見た目をしていますが、コリコリとした独特の食感が特徴の食べ物です。

“ナタ・デ・ココ”のはココナッツの実から作られています。ココナッツのかたい皮の中に入っている果汁に砂糖と水、そして酢酸菌の一種である“ナタ菌”という菌をそれに加えて10~14日間発酵させます。すると、ココナッツの内側にゲル状の膜が張ってきます。15mmほどの厚さになった膜を取りだし、食べやすい大きさにカットしたものが“ナタ・デ・ココ”です。

スペイン語でナタ・デ・ココは“ココナッツに浮く上皮”という意味ということなのですが、作りかたからこの名前になったのは納得ですね。

フィリピンでは、“ハロハロ”というかき氷の上にフルーツやアイスクリームやあずきを乗せたデザートのトッピングとしてナタ・デ・ココが使われます。

“ナタ菌”はコレステロールを減少させる効果がある“微生物セルロース(バクテリアセルロース)”を発酵の際に作り出してくれます。“微生物セルロース”には食物繊維が含まれていて、腸内環境を整えてくれ、便秘を解消してくれたり、さらには大腸がんの予防にも役立ってくれるなど、体に大変よい影響を促してくれます。

また、お腹の調子を整える“特定保健食品”として、ナタ・デ・ココは厚生労働省から認可されています。

4. 腐乳(中国)

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中国発祥の発酵食品、腐乳(ふにゅう、フールー)は腐菌を豆腐につけて塩水の中で発酵させたものです。腐乳の歴史は古く5世紀の頃には存在したといわれています。“北魏”という6世紀頃の古い書物の中にも“腐乳”という名前が記されています。

明の時代には“腐乳”は琉球王国(沖縄)にも伝わっており、“豆腐よう”の起源にもなりました。

腐乳の一般的な作りかたは、圧力をかけて水分を抜いた固めの豆腐を3cmくらいに切り、切った豆腐に腐菌をつけます。そして、表面から水分を飛ばして塩漬けにし、「もろみ」に漬け込んで数ヵ月~1年ほど熟成させると完成です。

漬け込む際に白麹で漬けたものを「白腐乳」、紅麹で漬けたものを“赤腐乳”といいます。漬け込む“もろみ”にもさまざまな種類があります。醤油や味噌のもろみ、穀類のお酒を使ったもの、高級な“腐乳”には紹興酒のもろみをつかったものもあり、香辛料のトウガラシや山椒、八角なども加えられます。

どの腐乳も大豆製品ですが、チーズのような風味があり「東洋のチーズ」といわれています。炒め物や煮込み料理の調味料やお粥に入れて中国では一般的に食べられています。

“腐乳”は豆腐に含まれたタンパク質が麹菌により酵素分解されて、アミノ酸やペプチドなどのうま味成分が生じ、乳酸発酵した漬け込み液が豆腐に酸味と独特の風味がでてくるのが特徴です。ただ、塩分が多く、食べ過ぎは体によくはありません。

5. ザーサイ(搾菜)

中国の漬け物のザーサイは、中国の南部四川省が発祥の発酵食品です。原料はからし菜の一種の高菜に似た植物です。その植物の茎にできたこぶのような肥大した部分を塩漬けし、調味料、トウガラシ、酒を入れてさらに漬け込んで発酵させた食べ物です。

ザーサイは乳酸菌のはたらきでよりいっそううま味が増します。他の発酵食品に比べるとザーサイは歴史が浅いですが、四川料理には欠かせない発酵食品です。そればかりか台湾や日本でも人気が高くなっています。

切ってそのままでも美味しく食べられるザーサイですが、中国本場では中華粥の薬味や炒め物、スープとさまざまな料理に使われています。中国では色々な状態で出回っていて、カメに漬けたそのままの状態や、大きな塊のもの、細切りやスライスされたものなどがあります。

植物性乳酸菌がザーサイには最も多く含まれており、“世界一乳酸菌が多い植物”として有名で、日本のお漬け物と同様に塩漬けで作られているので、耐塩性の非常に強い乳酸菌という特徴があります。なので、胃液や胆汁にも負けずに生きたまま腸まで届いて多用してくれます。

いろいろ試してみたいアジアの発酵食品!

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中華やエスニックの食材店には、さまざまな調味料・食材の発酵食品が販売されています。

ナタ・デ・ココやザーサイなど日本人にもなじみがある食べ物や、“テンペ”や“腐乳”のように少し見慣れないものまで、発酵商品の世界は奥深いです。

もし、“テンペ”や“腐乳”など見慣れない発酵食品に遭遇した時は、一度ためしてみるのもいいかもしれませんね。