世界で最も古いお酒だといわれるワイン。古代メソポタミア文明やエジプトの壁画などにも登場し、現在ではヨーロッパを始め世界中に愛されています。
近年では日本でもワインの魅力にハマる人が増えて、ワイン専門店やワインバーなどもあちこちにあり人気が高まっています。
さて、ワインといえばお店で購入するものだと思っている皆さん、ワインを自宅で手作りできるってご存知でしたか? 今回は、発酵のチカラを活用して自宅でワインを手作りする方法をご紹介します。
ワインの発酵のしくみ
日本酒、ビール、マッコリ・・・と、アルコール飲料にはいろいろな種類がありますが、その中でもワインの発酵のしくみはとてもシンプルです。
基本的にはブドウを潰した果汁と、ブドウの表面に付着している天然の酵母菌があれば、ブドウ果汁に含まれているブドウ糖を天然の酵母がエサにして“アルコール”と“二酸化炭素”を発生させてワインになります。(アルコール発酵)
このように天然酵母だけで自然発酵させることも可能なのですが、天然の酵母だけでは安定した発酵が得られず失敗する場合があるため、通常はそこに「ワイン用酵母」、手に入らなければ「イースト菌」を加えます。ちなみに、イースト菌を使用すると若干パンのようなニオイが気になることがあります。できればワイン用酵母を使用しましょう。
ワイン酵母は、東急ハンズやインターネットで簡単に購入できます。(1袋300~500円くらい)
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ワインの種類
ワインは主に「赤ワイン」「白ワイン」「ロゼワイン」の3種類に分類されます。
赤ワイン
赤ワインは皮の色が濃い黒ブドウを原料に、ブドウの果実を丸ごとアルコール発酵させて作ります。
このように皮ごと使用することで皮の色素が赤ワインの色になり、皮に含まれる“タンニン”が溶け出して独特の渋みが生まれます。赤ワインには、抗酸化物質で有名な“ポリフェノール”がたくさん含まれているのが特徴です。
白ワイン
白ワインは皮の色が淡い色(緑がかった色、または黄色みのある色)の品種から作られます。
赤ワインとは異なり、皮や種を取り除いた状態で作られるため渋みがほとんどなく、味のバリエーションも甘口から辛口までさまざまです。渋みがないのでワイン初心者にもおすすめです。
ロゼワイン
ロゼワインはフランス語で“ピンク色”を意味しているとおり、淡いピンク色のキレイな色のワインです。
製法には、赤ワインを作る過程で果汁がピンクに色づいたタイミングで皮を取り除いて引き続き発酵させる方法や、黒ブドウを搾ってその果汁だけを発酵させる方法などさまざまです。
白ワインでは物足りないけれど赤ワインだと重いと感じる人におすすめです。
手作りワインの作り方
注意すること
- あらかじめ容器や道具を消毒しておきましょう(雑菌を防ぎます)
- 発酵を早めるために温度を上げ過ぎないようにしましょう
- 作る前には手をきれいに洗いましょう
赤ワインの作り方
- ブドウを用意します。市販されている赤ワインの材料は「カベルネ・ソーヴィニヨン」や「メルロー」といったワイン用のブドウですが、自宅でワインを作る場合は「ベリーA」や「キャンベル」といった食用の品種を使用できます。
- ブドウを洗わずに実だけをほぐします。(洗うと皮の表面についている酵母菌が流れ落ちてしまいます) どうしても農薬が気になるなら軽く洗って水分を除きます。
- ブドウを手で潰し、潰した実だけでなく皮や種、小枝などの全てを容器に入れます。
- ブドウの甘みが少ないと十分に発酵できないので、全体の10%ほどの砂糖を加えてよく混ぜます。
- 確実に発酵させるために“ワイン用酵母”を半袋程度加えて混ぜます。(新鮮なブドウを洗わずに使用するなら天然酵母だけでも可能ですよ)
- 容器は完全にフタをすると二酸化炭素が発生して容器が破裂してしまう危険があるので、折り重ねたガーゼやキッチンペーパーなどでフタをして密閉しないように気をつけます。 (途中で二酸化炭素が発生し、ブドウの実や皮が浮いてくるので、 1日に数回かき混ぜてカビが生えないようにします)
- こうして、25℃程度の場所に置いて1~2週間発酵させます。(一次発酵)
- 発酵が終わったらザルで皮や実を押しつけるようにして果汁を絞り出します。できた果汁をビンなど別の容器に移し冷蔵庫で保存します。(二次発酵)
- そのまま3週間~1ヶ月ほど寝かせると底に澱が沈み、透明でキレイなワインができあがります。
市販のジュースで作る方法
もっと手軽にワインを作りたい人は、市販の100%ブドウジュースを利用して作ることもできます。
材料
- 100%ブドウジュース 1L
- 砂糖 70~80g
- ワイン酵母 小さじ半分程度
- 消毒した容器にブドウジュースを注ぎ入れ、砂糖を加えてかき混ぜます。
- そこに、ワイン酵母を加えて重ねたガーゼなどを輪ゴムで止めてフタをします。
- 25℃くらいの場所に置いておくとブクブクと発酵し始めます。
- 1週間~10日ほどで発酵が落ち着いてきたら出来上がりです。
ブドウジュースは農園などの無添加ジュースや、市販ならウェルチのような濃いジュースがおすすめです。
意外と簡単!手作りワイン
ワインの発酵は糖分と酵母があれば自然にアルコール発酵するため、自宅でも簡単に作ることができそうですね。
新鮮なブドウが手に入れば本格的な赤ワインが作れますし、ブドウが手に入らないシーズンでも、果汁100%ジュースから手軽にワインが作れそうです。目の前で酵母が糖分をアルコールと二酸化炭素に変えていく様子を観察できるのも興味深いですね!
手軽に作れる自家製ワイン、ぜひ試してみてください。
注意
日本では「酒税法」によって、酒類の製造免許を持たずにアルコール度数1%以上の酒類を作ることが禁じられています。砂糖を加えるとアルコール度数が上がるので気をつけてくださいね。