発酵食ブームとともに、塩麹や醤油麹が流行し「とりあえず流行っているから」と、買ってみた人は多いのではないでしょうか?塩麹は、家庭でも簡単に作ることができるので、米麹と塩を買って、試しに作ってみたという方もいらっしゃるのでは?
でも、実際手に入れてみて、さて、これはどう使ったらいいんだ?と、結局あまり使わずに、冷蔵庫の肥やしになってしまった人も多いようです。
そのようなあなたに、オススメな使い方は「肉を漬け込んでやわらかくする」です!今回は、肉を発酵食品に漬けて柔らかくするというテーマでいきましょう。
お肉を柔らかくする発酵食品とは?
肉を漬けると、柔らかくする効果のある発酵食品は、以下のようなものがあります。
- 塩麹
- 醤油麹
- 味噌
- お酢
- ヨーグルト
- 赤ワイン
・・・などです。塩麹やヨーグルトはテレビや雑誌で取り上げられることがあるので、ご存知の方は多いと思いますが、味噌も同様の効果があるのです。現在、マイナーな調理方法ですかね?あまり、味噌に肉漬ける人、いないですもんね。意外と知られていない味噌の使い方かもしれません。
日本では、伝統的に肉や魚を発酵食品に漬けてから焼いて食べる家庭料理があり、豚肉のような硬めの肉と相性が良いです。
海外でも同様の調理方法が見られます。例えば、インドの「タンドリーチキン」は、鶏肉にヨーグルト、塩、コショウ、スパイスを加えて半日程度漬けて、柔らかくしてから焼く料理です。鶏肉は、牛肉や豚肉ほど固くはありませんが、ややパサパサした食感がありますよね。発酵食品の力で、このパサつきを抑えることができるのです。
今、日本で肉を柔らかくするために漬けるとしたら、塩麹が1番手軽でオススメです。密閉容器に肉を入れて、塩麹を揉み込んでしばらく冷蔵庫で放置しておけば、自動的に柔らかく、美味しくなります。塩麹は、風味にクセがないので、漬けた肉はどのような料理でも使いやすいのが良いところですね。
発酵食品でお肉が柔らかくなる理由
では、肉を塩麹など発酵食品に漬けると、なぜ柔らかくなるのでしょうか。それを知るためには、まず肉を焼くと固くなる仕組みを知っておく必要があります。
肉に火を通すと、タンパク質が固まってしまうのが、イチバンの理由です。肉は「筋繊維」という組織で構成されており、調理中に高熱を浴びることによって、タンパク質が収縮・凝固してしまうのです。要は、肉を固くしないようにするためには、このタンパク質が凝固するのを防ぐことが重要になってくるわけですね。
そのためには、発酵食品を使った、以下のような方保が考えられます。
⑴ 酵素を活用する
塩麹には「プロテアーゼ」という、タンパク質を分解する酵素が含まれています。肉にこのプロテアーゼを接触させると、ペプチドとアミノ酸に分解されます。
そうすると、タンパク質がすでに崩れているので、加熱しても凝固しにくく、肉の柔らかさを保つことができるというメカニズムです。さらに、タンパク質が分解される過程で、アミノ酸が発生します。旨みも向上するので、一石二鳥です!
⑵ 乳酸菌を活用する
では、ヨーグルトに漬けると肉が柔らかくなるのも、プロテアーゼによる効果なのでしょうか?
ヨーグルトには、塩麹や醤油麹のようなプロテアーゼは含まれていません。しかし、ヨーグルトの中にいる乳酸菌がプロテアーゼを作り出す能力を持っているので、結果的に肉のタンパク質を分解して柔らかくするという、塩麹などと同じ働きをしてくれるのです。
ヨーグルトが余ってしまったときなど、ぜひ一度試してみてください。
⑶ 肉を酸性にする
ビーフシチューなど煮込み料理を作る際に、肉を赤ワインに漬け込んで柔らかくする手法がありますね。これも、タンパク質を分解して柔らかくする効果を期待できるのですが、赤ワインの場合、これに加えて肉を酸性に傾けて柔らかくできるのです。
肉が酸性に傾くと、保水性が向上するので、単純に柔らかくなるだけでなく、しっとりとした質感が加わります。ちなみに、白ワインは酸性の度数が少ないので、肉を漬け込んでも柔らかくする効果はあまり期待できません。
酸性、酸っぱい・・・といえば、お酢ですね!
お酢も、赤ワインと同じく、肉を柔らかくする効果があります。肉を酸性に傾けることによってしっとりさせるのと、肉自体に含まれる酵素「プロテアーゼ」を活性化して、タンパク質を分解して柔らかくします。お酢を使った漬け込み調理としては、肉をマリネ液に漬け込んだり、ポン酢で肉を煮込むといったものが簡単で、オススメです。
発酵食品でお料理上手になろう
様々な調味料を使った調理方法と、そのメカニズムを紹介しました。ただ肉を漬けるだけで美味しくなるという「誰でも簡単にできる」というのが最大の魅力ですね!
特に、日本の家庭で手に入れやすく使いやすいのは塩麹と、ヨーグルトですね。この二つは、肉のタンパク質を分解して柔らかくするまでの時間が、比較的かからない調味料なのでオススメです。唐揚げ用やカレー用に使うサイズの肉だと、1〜2時間漬ければオッケーです。
ただし、最初から柔らかい魚肉を長く浸けすぎると、必要以上に柔らかくなってしまうのでご注意を!
素材となる肉のカットサイズによっても漬け込む時間が変わってくるので、いろいろ変化をつけて試してみてください。
塩麹だけ・・と、ワンパターンにせず、料理によって赤ワイン、お酢などとバリエーションを増やしていくと、食卓が豊かになるので、お試しあれ!
まだ、発酵食品を使ってみたことがないという方、一回買ってみたけど冷蔵庫で眠らせているという方・・・これを機に、発酵食品料理にチャレンジしてみてはいかがでしょうか!